インドのディワリで爆竹と花火が禁止に!?爆竹を鳴らす理由や禁止となった背景を解説!
ヒンドゥー教最大のお祭り「ディワリ(Diwali)」。
光の祭典とも言われ、インドでは街中がイルミネーションやランプ・ロウソクの火で明るく照らされます。
そんなディワリに近年大きな変化が起きているようです。
それは爆竹や花火が禁止になっていること。
そこで今回は、「インドのディワリで爆竹や花火が使われる理由や禁止となった背景」について解説していきます。
ぜひ、最後まで読んでみてください!
クリックできる目次
ヒンドゥー教の最大のお祭り「ディワリ」とは?
ディワリとはどんなお祭り?
ディワリとはヒンドゥー教の光の祭典のこと。
どんなことを祝うかというと、
- 闇に対する光の勝利
- 悪に対する善の勝利
- 無知に対する知識の勝利
つまり、家族や友人と集まって平和・幸福・繁栄を祈り、祝うというものです。
とりわけ、「闇に対する光の勝利」という部分がイメージしやすいでしょう。
街はイルミネーションで彩られ、建物の入り口にはディヤと呼ばれるランプやロウソクに火が灯される。
明るくなった街並みは、文字通り「闇に打ち勝つ光」を強く感じさせます。
ちなみに、ディヤ(ランプ)やロウソクは知識・叡智の象徴とされているそうです。
5日間にわたるディワリの期間、人々は家族や親戚、友人たちとさまざまな行事をおこないます。
ディワリ名物の爆竹や花火が禁止に!
インドではお祭りやお祝いごとなどのイベントで爆竹を鳴らしたり、花火を打ち上げる風習があります。
しかしながら、近年は各地で爆竹や花火が禁止になったり、自粛が呼びかけられるようになりました。
なぜディワリで爆竹を鳴らし、花火を打ち上げるのか?
爆竹の歴史
爆竹について調べてみると、その始まりは2000年以上前の中国に遡ります。
当時は悪霊や疫病を追い払う目的で、焚き火に竹をくべて爆発させていたそうです。
のちに火薬が発明されると、竹を燃やすよりも音が出やすいような爆竹が作られるようになりました。
竹を爆ぜていたから爆竹なんですね!
インドの戦争で火薬が使われるようになったのは西暦1400年以降のこと。
その頃にインドで初めて花火が使われたという記録があり、また、爆竹の製造方法に関する記述も残されています。
インドではお祝いごとで爆竹・花火が使われる
インドに花火や爆竹が伝わって以降、結婚式や戴冠式などのお祝いごとで花火や爆竹が使われるようになりました。
1500年代にはディワリを祝うために花火が使われていたそうです。
今から500年近く前!
しかし、庶民が手に入れられるはずもなく、花火を使えるのは王族に限られ、いわば繁栄と威厳の象徴のようなものでした。
それから数世紀経ち、一般大衆が花火や爆竹を手にできるようになったのは18世紀になってからのこと。
インドでは徐々に爆竹や花火が手頃で手に入りやすいものになっていきます。
そして、庶民のあいだでも爆竹や花火はお祭りや楽しい行事には欠かせないものになりました。
爆竹・花火の宗教的な意味
爆竹や花火の音は地上に住む人々の喜びを表現し、神々がその音を聞いて地上が豊かであることを認識しているとされています。
もちろんですが、ただ騒いでいるだけではないんですね。
ディワリの爆竹や花火が騒音公害・大気汚染の原因に
インドといえば大気汚染をイメージする人もいるでしょう。
実際、首都ニューデリーの大気汚染は、市民の生活に影響が出るくらい深刻な状況です。
さらに、ディワリの爆竹や花火がこの大気汚染に拍車をかけています。
特に、爆竹は人体にも有害なスモッグを放出し、路上にも有害物質を残すのです。
人体には呼吸器疾患の悪化、頭痛や目まい、目・鼻・のどへの刺激といった影響があります。
路上の有害物質は動植物にも深刻な影響が!
都市によってはディワリ明けの対策として、
- 妊婦さんは外出しないように呼びかけている
- 外出を控えるため学校の休校措置を取る
- スモッグ対策として人工降雨を計画している
などが挙げられています。
また、騒音公害は大気汚染に比べると人体への影響がわかりにくい分、厄介かもしれません。
特に子どもや高齢者にとっては無視できないレベルです。
睡眠障害や高血圧を引き起こす可能性も!
幸い、私が住むシッキム州では大気汚染は大きな問題にはなっていませんが、爆竹や花火による騒音は問題になっているようです。
インド各地では穏やかなディワリが広まる
インド各地では未だに禁止されている爆竹や打ち上げ花火の音が鳴り響いています。
しかし、ディワリを穏やかに過ごす呼びかけが、確実に広まっているようです。
私が2023年のディワリで見かけたのは、子どもや少年たちが爆竹を鳴らし、花火を打ち上げている姿。
子どもが人の多い場所でもかまわず爆竹を鳴らして遊んでいました。
正直、爆発音にイラッとしました。
こうした、若い世代にも騒音公害や大気汚染についての認識を伝えていかなければならないと実感しました。
鮮やかに彩られた街並み、灯されるディヤ、建物の前に描かれたランゴリ、どこからか聞こえる子どもたちの歌声、美味しい食事、家族や友人たちと過ごす幸せな時間。
インドでは伝統を守りつつ次世代が見習いたくなるような光の祭典が、新しいディワリの楽しみ方となっているようです。
私の住むシッキムでは、家の前で線香花火を楽しむ子どもたちの姿も多く見られました。
こうした、周りに迷惑をかけずに、なおかつ伝統も重んじる形で文化が受け継がれていくといいですね。
まとめ:お祭りの形も時代にあうように変化している
ヒンドゥー教最大のお祭りであるディワリで、爆竹や花火が使われる理由や禁止となっている背景について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ここで、今回の記事の重要な点をおさらいしておきましょう。
この記事のポイント
- ディワリはヒンドゥー教の光の祭典で、家族や友人と集まり平和・幸福・繁栄などを祝う
- 街にはイルミネーションが飾られ、建物の入り口にはランプやロウソクが置かれる
- ディワリでは爆竹や花火を鳴らす風習があるが、近年では騒音公害・環境汚染の観点から、禁止になったり自粛が呼びかけられたりしている
- インド各地では環境に配慮した形の穏やかなディワリが広まっている
日本でも除夜の鐘に苦情が寄せられるというニュースが話題になりますが、ディワリの爆竹や花火は次元が違う騒音です。
環境面を考えても、単に風物詩などという言葉では片付けられないところまで来ています。
インドでは爆竹の規制や爆竹反対運動、環境に配慮したグリーン・ディワリという考え方も広まっています。
先進国入りを目指すインドでは、お祭りの形も時代に合うように変化している最中にあるようです。
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